出陣の朝。いよいよ利尻岳(利尻富士)山頂を目指す。
雨は上がっていたけれど、晴天は期待薄。
朝5時に宿を出発。
北麓野営場に到着。
鷲泊コースを登る。
最近、登山のガイドはあまり見ないようにしていた。標高や時間が分からない方が歩いていて気持ちがいい。プレッシャー無く歩ける。今日は下山して約1ヶ月。初めて山のガイドを見ながら書いている。
登山口までマルゼンの女将さんが乗せていってくれた。
到着するとかんちゃんが
「あれ!?あれ!?」と言い出した。
「あれ!?私のリュックがない!!」
宿の入り口に置いてきたらしい。
流石に呆れた様子だったけれど、女将さんがかんちゃんを乗せて戻ってくれた。宿は往復しても車で10分くらいなので助かった。
ゆっくりトイレに入った。登山口のトイレは清掃が行き届いていて新しく、ウオシュレット付きだった。久しぶりのウオシュレット^^ トイレから出たくなくなった^^
ところが、下半身に違和感がある
「あれ!?」
礼文島に続き、山へ珍しく長いズボンを履いてきたんだけど、なんだかおかしい。トイレで見てみると、朝履いていた短パンを長いズボンのその中に履いているではないか!?そうだ。3:30に起きた時に半ズボンを履いてから、寝ぼけてその上にもう一枚履いてしまったのだ!!靴履いちゃったし、脱ぐのは面倒。仕方ないのでそのまま行くか・・・
気を取り直して出発!!
う〜ん、でも歩きづらい・・・
最初はこのように整備された登山道だった。
忘れるほど小さなリュックでもないんですけど・・・かんちゃん・・・
ガイドを見たら3合目にあたるここの水は冷たくてとても甘くて美味しい。新しく購入したポットに入れて歩いたら、戻るまで冷たいまま。冷たい水とポットにとても感謝。
甘露泉水ここから汲みました。
標高はまだ270m。1721mまで随分とある。スタート地点から数えれば標高1500mを半分の時間で登り、半分の時間で下山しなければならない。この山は日帰りするしかないのだ。
5590mの距離は平地なら早歩き1時間で歩ける距離。標高は300mをだいたい1時間で稼ぐ。
木製の橋も立派
いよいよ登山道らしくなり
小ぶりの岩が出てくる。
それにしても中の短パンが大リーグボール養成ギブスのように足の押上げ運動を拒み、辛くなってきた。
雪で倒れたのだろう。
登山道の部分だけ切除されていた。
4合目には丸太の椅子まである。
手前で長めの休憩を取ってしまったのでスルー。
花が群生していた。
なんだったかなぁ。花が鶴に見えるともーちゃんに言われた記憶が・・・
最北の高山は岩山だと想像していたら、樹林帯がどこまでも続く。海から見えていた雪渓がチラリと目線に入った。
緩やかな登りが続き・・・
5合目へ。雷鳥なんて居るの??カモメとカラスしか見ていない。
礼文島が見えた。一昨日はあのスコトン岬からスタートしたんだよな。随分昔の事のように思われた。
少し大きな石が出てくると道が険しくなってきた。
この辺りまで来ると、大リーグボール養成短パンがどうにも許せなくなってキタ
樹林帯を抜けると昨日行った会津藩士の墓があるペシ岬が見えた。
礼文島の知床も見える。地の突端部、つまり「岬」を指すアイヌ語が「シレトコ」なのだそうです。
稜線が見えてきたけれど、頂上ではない。もっと尖っていたよな。
晴れていればねぇ〜
と、景色を眺めていると・・・
ヤッベ!!上昇気流だ。ここも雲の中に飲み込まれちゃう。
上昇気流を振り切るように登り始める。
どんなトイレか気になります。
まだ松の低木が続く
6.5合目。
もーちゃんはずっと「8合目まで掛かったのと同じ時間が8合目から頂上まで掛かる」と、呪文のように繰り返していた。けど・・・そんな訳ないでしょ!?
どうやら、誰かが書いたこの山の記にそのような説明があったそうで、それを信じ込んでいる。
今までの山の経験からそんな山はどこにもナカタヨ^^;
龍のような雲が迫り出して来て、礼文は見えなくなってきた。
沖の(レブン)島(シリ)礼文島はもともとアイヌ語で「沖の島」を意味する。
トイレトイレという標識を見ていたら、連想ゲームが始まり、どうしてもトイレに行きたくなる。
仲間の皆さんは俺を置いて先に行ってしまた。(まあ、「先に行ってね」と、こちらがそれを望んだんだけど・・・😁)
昨日、セイコーマートで簡易トイレ用のシートを買っておいた。初めての体験だったけれど、山小屋の強い匂いのトイレに入るより、とても快適だった^^ いい💌
それに、この機を逃さず、大リーグボール養成短パンも脱ぐ事が出来た^^
気持ち晴れやかに再出発^^
てなわけで、山でトイレへ行くことを「お花畑へ花摘みに」と言う洒落た方もいらっしゃいますので、花の写真を🌸
1人で歩くのは久しぶりだった。
元々1人で山へ向かう事が多かったので、昔の感覚が戻ってきた。
それに、下半身の違和感が全くなくなり、とても歩きやすいじゃないか!!
絶対に頂上へ行けると確信した瞬間。大リーグ養成短パン改め「100名山登頂養成短パン」✨
それにしても樹林帯を過ぎたと思ったらまた戻ってくる。
うーん、シラネアオイの名前が頭に浮かぶんだけど、判らない〜
う〜ん・・・さっきから黄色い花が・・・
なんて、謎解きのように考えながら歩いていたら雲の中に入っちゃった。
雲は目の前を覆ったり突然開けたり。一進一退を繰り返す。
雲の様子を見ていると・・・
レンズ雲見たいのが目に入った。ヤバい。低気圧だ。風も強くなる。
先を急ぐが、石が次第に大きくなってキタ。
高度を上げると礼文島が小さくなってキタ。
急登を登り高度を稼いで行くと・・・
第二見晴台。
標高も1120mまでキタ。おお!!もう2/3登っているじゃないか!!
せっかくなので見晴を楽しもうと思っていたら
雲がどんどん湧いてきて
こちらへ伸びてくる
だめだ。先を急ごう。ピークまでの登山道が見えていた。先はまだ長い。
大きめの雪溪が同じ目線に入るようになってきた。
ここからは少し急登になってきたけれど、飯豊山や会津駒ヶ岳を思えば大したことはなかった。
振り返るとなかなかの高度感があるところまできていた。
ピークはもう少し
もう少し
さっきの第二見晴台のあたりがまだ見えていたけれど、随分歩いてきた。
それにしても、こんな北の果ての山で・・・途切れ途切れになってはきたけれど樹林帯はどこまで続くのだろうか・・・
この道の先が明るいと言うことは・・・そろそろ稜線に出られるのだろうか・・・
辛いと言うより、樹林帯が続き景色も悪く飽きてしまった。
予想が当たり8合目。ここは長官山と言う山の頂上になっていた。
あれが長官山頂上だろうか。
昭和8年しか読めなかった。
今まで歩いてきた道は閉ざされたかのように雲に覆われてしまった。
頂上が見えそうで見えない。間違いなくあそこが頂上だ。
おお!!何となく見えている!!
雲は相変わらず一進一退を繰り返し、とうとう頂上が雲に覆われてしまった。
山小屋に到着。ここでみんなと合流する。
少し休憩をとった。
もうちゃんとかんちゃんはここで諦め、下山するという。もう満足だと。それにここまで5時間近く歩いてきたから、頂上まであと2合登るのに5時間かかれば帰れなくなると。
自分と小林さん(元栗駒山救助隊員)橋本さんの3人で頂上を目指す事にした。
昼食は頂上を折り返し下山してこの小屋で食べる事にした。自分は朝ごはんも食べていない。最近、朝食を食べないで登る方が楽な事に気づいた。今日もここまで案外楽に登る事が出来た。
10:30頃だったと思う。30分くらい休んで小屋を出発。すぐに雪溪が出てきた。
ガスが濃くなってきた。
いよいよ森林限界を超えたようだ。
朝、マルゼンのお母さんから「今日は息子が9名案内して登っています」と言っていた。
団体さんが下山してきた。先頭の方に見覚えがあった(宿に写真がたくさん飾ってあった)ので「マルゼンの社長ですか??」と聞くと「はい!そうですけど」と。お宿マルゼンに泊まっているのと、お母さんにお世話になっている事を告げて別れた。私の服装(雨なのに合羽を着ていない。ズブ濡れ)を見て「今日は頂上まで行けるでしょう!」と告げてくれた。(上の写真の先頭を歩く黄緑色の方が社長。野口健さんをはじめ、芸能界、各界の著名人を頂上へと案内している利尻島の海、山、空、全てを知るエキスパートに会えた)
花がね〜
咲き乱れていましてね〜
群生
黄色いのもね〜
何度も見ている花々ですよね〜
と、歩いているとあっという間に9合目へ。あれ??こんなものですか・・・ぜ〜んぜんへこたれていないんですけど。
ここにもトイレがあった。
9合目記念。あと標高300m。1時間だぜ。
グリーンのシャツが雨にぬれて黒くなっていた。
小林さん(右)と橋本さん(左)2人ともタフであり、とても元気だった。
ラストスパート。
と、言いたいところだけど、帰りも長いからそれなりに登りましょ
この岩は滑る。至仏山の蛇紋岩に似ていたけれど、なんという岩の種類なのだろうか。
次第に切り立ってきた。
登ってきても、もうちゃんには無理かな。
こんな最上部に近い、断崖絶壁に咲くか・・・
足元は見えるけれど、先のルートの検討がつかない。
あのピークは越えていくのだろう。
左が切り立ってきて
右も切り立ってきて
登山道は次第に狭まり
荒れてきた。こんな半分崩壊している箇所もあった。
がんばっぺ!
こちらの方が距離は短そうだけれど難所と言われる沓形登山コース。合流点までキタ
あの雪渓を登ってくるのだと思われる。アイゼンも無いので、この斜度を登るのは厳しいだろうな。
ここからやっと斜面が急になってキタ。
木の階段は、一部が表面をカットされ足を乗せやすく作られていた。
階段の先には別世界が広がっていた。なんだろ??
う〜む。行き先を閉ざされているような、工事中みたいな。墓場のようにも見えてしまう。
近づいたら驚いた。
この円形の筒に土砂を入れ、崩れてくる土砂を抑えているのだという。
ここは全てえぐれてしまったらしい。美しい北の山は自然と人間の歩みに痛めつけられてしまったようだ。
こちらの白い方が見た目に優しいと思います。
さらに先を目指す。
ん??いよいよ頂上か??
雰囲気的には頂上直下^^
そろそろでしょ^^
少しなだらかになったと油断していると・・・
右側がほぼ直角に切れて
登山道はすれ違えないくらい狭くなり両側がえぐれて落ちていた。
左側も直角に切れ込んでいるじゃないですか^^;
そしていよいよ・・・
利尻山頂到着!!
船のスクリューが巻きつけてある。ここは漁師の方々が信仰する山なのだろう。
小林さん(右)橋本さん(左)お疲れ様でした!!やったね!
2人とも写真をバシャバシャ撮っていた。
自分も写真を撮ってもらったんだけど、雨水がカメラに侵入したようで、なぜか短い動画が2枚撮影されており、この日記にはUPできませんでした。この翌週、カメラとしても使っているiphone(2号機)は水に侵され現在も壊れかけたままであります。
頂上には10分も居られなかった。気温が低く、風も強い。全身ズブ濡れ。寒い。
下山を始める。早くお昼ご飯を食べないと^^
先ほどの黒い構造物を設置していたあたりは、上から見るとえぐれている状況がよくわかる。
さっきの半分崩落尾根に差し掛かる。ここも上から見るとそのヤバさが手に取るようにわかる。
眼下に雪溪があるようだけど、ガスで見えない。
ここからはカメラが上手く動かなくなりあまり写真がありません。
これは9合目のトイレと思われる。
昼食を食べて、13時半に再度下山開始。
長ズボンも7部袖の服も雨でずぶ濡れ。靴の中まで濡れてきた。ヤバい。
とっさに思いついた。「そうだ!!俺には半ズボンがあるじゃないか!!それにポンチョもある^^」
で、上の服を脱ぎ、タンクトップと半ズボンへ履き替えて、その上にポンチョを被ってみた。さっきより快適である。
第二見晴台からの見晴はすでに失われていた。
雨の中4合目までキタ!!この頃には靴の中が池になっていた。雨は6合目あたりから強くなっていた。
16:30無事下山。
お疲れ様でした。マルゼンのお母さんが登山口まで迎えに来てくれた。
晩御飯はたくさん食べた。この写真は北海道で漁れる「八角(はっかく)」という魚だけど、こんなデカい八角は初めて見た。
夜はあっという間に過ぎて、久しぶりにゆっくり眠った。
マルゼンのお母さんと。
お母さんは化粧もバッチリで、イヤリング、マニキュアととてもオシャレでした。
とても素敵な方で。別れは辛かった。また来ますよ^^
昨日の利尻岳は頂上が雲の中に隠れたままだった。
歩いて5分の港へ向かう。
今日は海が荒れるため、第1便を出港させたあとは全便欠航が決まっていた。
稚内へ急がないと。
つづく
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