おはようございます。
朝の4時前、少し暖かくなってきたせいかやっと眠りにつけた私を、発電機がすぐ近くで轟音を上げて動き出し、叩き起こしてくれました。
朝焼けがとても綺麗だった。朝焼けだか夕焼けだか、眠くてわからなくなる。
朝焼けの隣にはまだ月が出ていて、稜線が太陽の光にくっきりと浮かんでいる。
ベッドの後始末をする。ナイロン袋に貴重品を入れて、毛布2枚を担ぎ、急ぎ作った寝床。
背中痛いわけですよ。暗くて真っ平らに見えたけれど、石がゴロゴロしていた。
川田さんも起きた。気がつくと浩哉さんが居なかった。あれ?
たけちゃんが言うには、真夜中に浩哉さんがものすごく荒い息遣いとすごい勢いで小屋に入ってきたとか。何かに襲われたか、怪我でもしたのかと思ったと言う。浩哉さんが言うには、「小屋へ向かって道に迷った」とか、「寒くて眠れなかったので小屋に行った」とか言っていた。
月も出ていたし、ヘッドランプも点けていたし、迷うような場所ではないんだけどな^^
まあ、山は怖いものです。
象潟あたりの海岸線が綺麗に見えていた。
フラフラと小屋の方へ戻り、ご来光を見る。
美しい。今日は天気に恵まれたようです。
太陽は一気に輝きを増した。
鳥海湖は、鳥海山のまだ影になっており、暗いままだった。なんてたってデカい山なんだ。
酒田の街もよく見えます。下界は暑いんだろーな。こっちはまだ寒いってのに。
山頂もくっきり。
酒田拡大。
今日は景色に恵まれることでしょう。
6時。朝食の時間。二日酔いじゃないけど、ただただ眠い。
食事を始めると、なんだか変だなと、気づく。食べ物の味が全て一緒なのだ。
それも、トイレの匂い(かなり強烈。くろがね小屋の100倍くらいの倍率)が鼻にしみ込み、何を食べてもその匂いがする。
3口くらい箸をつけたら気持ちが悪くなり、食べることができなくなってしまった。
あまり、腹も減っていなかったので作ってくれた方々には悪いけれど、残してしまった。
食事が終わるとすぐに準備して出発だった。
自分にもこんなナイーブな部分があったとは。
ものすごくいい天気になった。
出発前に小屋の主人と会ったので、昨夜の礼を言う。おかげさまで、天の川が見れたこと、酒田の夜景が綺麗だったこと、それと、毛布を2枚借りてあのベストポジションで寝た事を言うと、主人に大笑いされた。「外で寝たってが!?あははははは!寒かったんでねーかー!?毛布もっといっぱい持ってけばえがったのに!!」と、とてもいいご主人でした。
普通、毛布を外に持って行って寝たなんて言ったら、怒られると思うんですけど・・・
おおらかな古き良き時代を感じる山小屋でした。
最近の山小屋は決まりごとばかりで面倒臭い所が多いです。ここはトイレ臭くなければOK
全員で準備を整える。
いよいよ出発。最初は下る。
眠い。
下るとすぐに上る。
太陽に向かって歩く。
まずはあのピークを越えます。
とにかく景色が素晴らしいので写真をバシャバシャ撮った。同じような写真がたくさんあるけれど、それはそれで、その時々に何かを感じて撮影しているので、全部載せておきます。飛ばしてもらっても構いません。
振り返ると庄内平野が広がっていた。
ゴロゴロした大きな岩場を登る。
小屋がどんどん小さくなる。
庄内平野は上林さんの地元鶴岡あたりまで丸見えだった。
逆の秋田方面。
次第に暑くなってくる。
日本海沿岸は風力発電機がたくさん設置されていた。
自分も来年からスタートさせようと準備中だけど、日本海ではもう土地がないんじゃないかっていうくらいたくさん建っていた。内陸まで風が吹かなくなるのでそろそろその辺でいいんじゃないの?
高度を稼ぐと庄内平野全体が見えてきた。米いっぱい獲れるんだろうな。
今日は隊列の最後尾を歩き、写真をバシャバシャ撮ります。
1つ目のピークの頂上に着く。
せっかく登ったのに下り始める。
ご丁寧に階段になっていてどんどん下る。
鳥海アザミ。すごい色してる。これはこれで美しい。自然の中に生きる「凄み」みたいなものを感じた。
こんなに下ってしまった。
んで、また登る。ちょいとコース設計間違ってんじゃないの!?
スタートからこんなに息が上がってますけど。
振り返るとものすごく下ってしまった事が分かった。中腹を巻いていけばいいのに。
再びどんどん登る。山はやっぱり下り坂がいい。ずっと下っていける頂上があったら毎日でも行くのにな。
1234567八丁坂まできた。先はまだ長いです。
日本のエーデルワイスの一種が花束になって咲いていた。何を好んでこんな厳しい環境の中生きているのかわからないけれど、逆に麓の環境では生きていけない。厳しい中に育つから美しくなれるのか?
胸突き八丁を過ぎてゆるやかに登る。
外輪山と直登ルートの分岐点を目指す。このあたりから急登になる。
太陽が爆発したのかと思ったよ。
左折して直登ルートへ入る。
頂上まだまだ遠いんですけど・・・
小屋も遠くなっちゃった。行くも戻るもどちらも大変そうです。
階段使って登ったのに、また階段を使って下りになる。
うーむ。山とはこういうものであり、人生と似ているものですよ。
あんなに登ったのに・・・
まだまだ下る。
まだまだ下る。
あの谷底の雪渓を渡って行くという。なんだか、気持ち悪くなってきた。
眠いし、心が病んできたようにも思う。
雪渓を渡りきり休憩する。先日の白馬岳の大雪渓2時間スペシャルよりは全然いいけれど、あの時はまだ前の晩眠れたからなー。とにかく、登山では寝不足が一番こたえるのです。
もう行っちゃうの?まだちょっと休めばいいのに・・・
日陰が嬉しいけれど・・・
すぐに直射日光を浴びる事になる。遮るものはもう無い。
昨夜、隣で寝ていた川田さんは元気だった。同じくガタガタ震えていたはずなんだけど。
外輪山を歩いた方が効率が良い(アップダウンがあまり無い)ように思えたんだけど、こちらのルートの方がまっすぐ向かえるから早いんだって。
振り返ると雪渓があった場所は遥か彼方になっていた。
そのまた先、日本海に浮かぶように御浜小屋が見えた。
外輪山を歩くコースの稜線に人が見える。
「8頂上へ」まで来たけれど、あと2つなんですかねー。この手前で気持ち悪くて歩けなくなり、隊列を離れ、少し一人で眠ることにした。
寝ていると、なんだか耳触りな会話が聞こえてきて。昨夜の小屋にいた大阪のおばちゃんたちが近づいてきていた。
以前、和歌山のおばちゃんたちに名月荘(西吾妻山縦走時)で1人対8人という構図で囲まれ、攻撃された事があり、あれから20年・・・関西弁のおばちゃん集団には敏感になってしまった。
関西弁が耳に入った瞬間、自分の何かのスイッチが入ったのか、スタスタと歩けるようになってしまった。もうあまり気持ち悪くもない。
景色が素晴らしい。
スタスタ休みスタスタ休みを繰り返し「9頂上へ」まで来た。
ようやく、気持ち悪いのから完全に解放されてきた。
雪渓を過ぎたあたりでは死ぬのかと思った。
山頂小屋のあたりが見えてきた。外輪山よりも低い所にある。
振り返ると御浜小屋はもう山の陰になり見えなくなっていた。
噴火で吹っ飛んできた石。見ていたわけではないけれど、多分そう。
いよいよ、頂上直下へ。
高度を稼ぐとまた日本海が眼下に広がり、彼方には御浜小屋のあたりも見えてきた。
酒田港が見える。
よく見ると、先に行った仲間たちが新山へ登り始めていた。
呼んだら手を振ってくれたです。
到着ー!
太田さんと合流し、小屋の近くの石垣に背もたれると、なんとなく二人で眠ってしまった。
すると賑やかな声で、「あれっ!?須藤さん寝てる!!」と声が聞こえて目が覚めた。
たけちゃんが、外輪山に向けて先発したという事だった。
実は、太田さんと私で、帰りは外輪山を下山しようと話しており、姿が見えないので先に行ってしまったと勘違いしてたけちゃんは行ってしまったらしい。
急いでお札を買って
たけちゃんを追いかける。あっちも先には居ない、見えない自分たちを追いかけるんだから、相当飛ばしているんだろうな。
以前は粗末だった頂上のトイレが立派になり、微生物で処理できるシステムが備わっていた。匂いは御浜小屋の千分の一くらいだった。数も多いから、多い日も安心です。
外輪山へ続く道。
また雪渓を歩いて向かう。一体今年はいつまで雪を見ているのだろう。もう8月も半ばに近いっていうのに。
結構急なんすよ。
後ろを振り返ると新山が見えていた。
なかなかの岩場。
登り切ると・・・
反対の岩手県側には雲海が広がっていた。
もう、七高山なんて登っていられないので、真直ぐ伏拝岳方面へ向かう。
新山(頂上)ともお別れです。
歩く先の方が見えるけれど、たけちゃんがどれかは全くわからなかった。
稜線はいいねー。やっぱり稜線ですよ。
左手に雲海。
右手に山頂を見ながら歩きます。
一平爺さん姿の太田さんも稜線を満喫。
実は太田さんと歩くのはとても楽なんだよな。
近すぎず離れすぎず、それでも一定の距離を保って付いてきてくれるんだ。
あまりすぐ後ろを歩かれると煽られているような気持ちになり急かされるし、離れすぎると待たなくてはならなくなる。登山のパートナーには最高な方です。
皆さん(特に女性)も、登山に行くときは太田さん(独身)を誘いましょう^^
てなわけで。
すげー雲。これがすぐ近くまで湧いているのに、稜線にかからないでずっと停滞しているのが奇跡的だった。
ついてるよ。
雲が次々と流れていく。
階段なんかもあり、変化に富んでいます。
岩手県側の雲海との間には花がたくさん咲いていた。
アニキ、カッコイイですよ。落ちないように気をつけてね。
さっき歩いて登った雪渓のあたりはガスってきた。
振り返ると歩いてきた道も少しガスがでてきた。
進む先は快晴。
また振り返れば山頂が横に見える。
庄内平野がまた見えてきたり
雲が迫ってきたり。今度は、さっきの登りルート側からも雲が上がってきた。
さっき登ってきたルートは遥か下方に見えていた。
あのあたりを歩いているのは遊山会の方々ですかのー??小さくて見えない。
曇って
また晴れる。
いつの間にか伏拝岳を通り越して文殊岳まで来ていた。ピークがたくさんあり、どれがどれだかわからない。
あーあ、雲かかっちゃったです。
このくらいの距離感が心地いい。
また晴れる。
太田さん転んで起き上がるの図。犬も歩けば棒にあたるし、猿も木から落ちるし、太田も歩けば転ぶ。
傾斜が急になってきた。
急斜面を降り続けると
今朝の分岐点まで来た。
さっきの胸突き八丁の手前
です。
また晴れてきて。もう、ここまできたら着いたようなものだと余裕を見せ始める二人。
絶対に他のメンバーよりも自分たちの方が先に歩いていると思っていた。
朝一番、思いっきり降りた坂を
最後に上る。
振り返ると稜線は雲の中にあった。
なんてラッキーなんだろう。
登っていたら、すぐ後ろに同じペースで登ってくる長靴のおじさんがいて、すげー早いなー!なんて思っていたら、「天気でいがったな」と話しかけられ、小屋の主人だった。
この赤い服の方です。最初はぶっきらぼうだったけど、とても良い方です。
ここまで来るとほとんど到着。
おお!!懐かしい鳥海湖!!(6時間ぶり)
今日は青々としています。
小屋が見えた。
到着ー!
間合いの太田さんお疲れさんでした!おかげでいい山行になったよ。今回は登場回数が一番多かったです。
小屋へ行ったら全員揃っていて、30分も待ったという。外輪山の方が遠いので仕方ないんだけど、少しがっかりし、急いで昼飯をかき込んだ。けれど、正直冷たーい冷やし中華が食べたかった。鼻の中は相変わらずトイレの匂いだったので、半分くらい残した。
すぐに下山開始。
ただ黙々と歩く。話すことはもう何もない。
(嘘。あいかわらずアーデモネイコーデモネイと会話が尽きない)
休む人を横目に休憩もせずに歩く。
昨日の駐車場の建物が見えてきた。
最後にまた晴れてくれた。
日本海が近づいてきます。
「二日酔いで寝るのにちょうどいい岩だな」と、谷川岳のダブルベッド岩で一緒に寝た浩哉・須藤が個人的に盛り上がる。眠れそうな岩を見つけると、ついついまた一緒に眠らなくてはならないような気持ちがこみ上げてくる二人であった。
昨日登っている最中は全く見えなかった景色が見える。
遠いねー。御浜小屋はもうあんな遥か彼方へと去ってしまった。
この階段、登りには絶妙な歩幅なんだけど、下りは微妙に歩幅が合わない。昨日より足が長くなったのかよ!?
下りで浩哉さんは膝が痛くなったようです。3年くらい前から痛めてしまい、それでも毎回参加で頑張っていますけど、注射を打ったり、サポーター巻いたりと、かわいそうです。
以前のように二人で走って下山することはもう無くなってしまった。
眼下に駐車場が見える。
ここから3分くらいで到着でした。
お疲れ様です。
いい山だったな。やっぱり鳥海はいい。次は久々に頂上の小屋に泊まってみたいですね。食事は全く期待できないけれど、ジュジュジュっと日本海へ沈む夕日が見える。
また、次の旅でお会いしましょう!
おわり
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